公式サイト 田中芳樹/伊藤勢 漫画 天竺熱風録 3巻 感想 レビュー 考察 画像 内容 ネタバレあり これまでの感想はこちら 前巻はこちら
“第三国”を引っ張り出す体当たり外交、決闘、刺客との決着へ!!

Aaa_002
Aaa_004s-
IMG_9604
IMG_9613
IMG_9597
仲間を救う為に、いかにして他国に軍を出してもらうか? 難しい議題の外交に
 おそれながら! と慇懃無礼に単刀直入に切り込む王玄策!
 現場主義者おっそろしいなァ!

 また見所は矢張りラトナ女将軍と、巨漢ロンツォン将軍の一騎打ち!

見ろ、あれが男の背中だ…!
 安易に、「女をナメた巨漢がボコボコに…」なんてしない、両方が栄える名勝負!
 またネパールは、後にアジア全土が植民地化される中“凌いだ”国
 地理的、そして人のしたたかさが面白かった!

 待った待ったと、言葉で切りこむ王作、「政情」を考えるのが楽しすぎる巻!

仮面の男、その異形は想像通り気色悪いものだったけれど

IMG_9623
 驚かず頭突きした王玄策! 状況違やあ、仲良くなれたんでしょうか…

あらすじ
 時は七世紀、チャンダ・ムンダに襲撃を受けた玄策は、ネパール目前で死地に陥る
 しかし、国境紛争中のネパール部隊が現れ倒す事に成功
 首都カトマンドゥに入る事が出来た

 しかしネパールは、玄策らを、天竺に揺さぶりをかける大義名分に使おうとする

 彼らも、現・天竺政権は不利益なものと考えているのだ
 気付いた玄策は敢えて死地を選ぶ

 それは困るネパールに、玄策は破天荒な案を提案、天竺王都強襲決まる

兄を殺した王玄策を追い、暗殺者は“モティハリ要塞”へ入る

IMG_9630
IMG_9629
 行く先々で馬を盗み、潰れるまで走らせては乗り換えてきたという

ティーラブクティ国“モティハリ要塞”
 何でも、馬が死ぬ度、その心臓を食っていたというのだからぞっとしますし
 王玄策らも捕らえ、生きながら心臓を食ってやるという
 どんだけ心臓好きなんだお前…

 またこのティー国は、天竺とネパールの中間に位置する

 目指すネパールは、山岳地帯の盆地にある国
 山だらけのど真ん中!

 対しティー国は、ネパールから平野に出る、「出口」にあたる要衝なのだ!

アジア植民地化時代、イギリスの侵略を打ち破った“小さな強国”

IMG_9628
 難攻不落の天空都市! わくわくしてくる単語だわ!!

天空の国ネパール
 王玄策らが目指す国は、道中、「豊穣の神ドゥルガーの眷属」がうようよしている!
 と言えばアレだが、要は悪性の疫病、マラリアがはびこっており
 現地は「神が、貢物を要求している」と捉えていた

 後に近代装備のイギリス軍さえ、疫病と、ネパール兵に侵略を諦めた程

 山岳地帯という特殊地形に長けた彼らは
 アジア各大国でも為す術なかった時代、見事に侵略者を撃退したという

 ネパールって、そんなとんでもねえ国だったのか…。

吊り橋の死闘! 思わぬ場所で、追撃戦となってしまった王玄策たち

IMG_9627
IMG_9626
IMG_9625
 壮大な石像! 釣り橋で馬ごと肩を射抜かれた王玄策

国境線を走れ!
 玄策も、こんなに早く追撃隊が来るのはおかしい、国境警備隊だろうと思いつつ逃走
 逃走を図るも、まず「無害な旅人」を装おうとする強かさは
 伊藤勢先生の真骨頂ですね!

 また後の場面曰く、この貫通力が、この辺りの弓矢が長じた点らしい

 落馬した玄策、咄嗟に「見捨てろ」と叫ぶ彼に
 迷わず置いていく蒋!

 この迷わなさ、“生きる事は生き残る事ではない”、彼ららしい即断即決!

見たな? 吊り橋を落とそうとした玄策は、“仮面”を弾く!!

IMG_9624
IMG_9623
IMG_9622
 他人の容姿に驚くなんざ 失礼だろ!(王玄策)

驚けや!
 異形の暗殺者、恐怖の正体! …に、びた一文驚かない王の胆力おかしい!!
 彼が「アナング・プジャリ」、異形を輩出する事もある一族なのだ
 と、事前に知ったのも大きいか

 彼らは矢張り、ベトちゃんドクちゃん同様の、結合双生児だったのだ

 ちなみに武田邦彦教授によれば
 このような双生児は、昔から見られた一種の風土病なのだという

 文字通り、二人が互いにめり込むような結合…!

王玄策『師仁ー! 後は頼んだぞー!!

IMG_9621
IMG_9620
IMG_9619
 ところがどっこい、助けが来た!

“前巻”出撃していた!
 実はこの地帯、ネパールとティーラブクティの国境にして紛争地だったのだ
 現代中国同様、ティーラ側は警告を無視して侵入し
 ネパール国境を圧迫していた

 あまつさえ、前述の要塞を建て、腰を据えて狩猟伐採採掘を。

 国境線の既成事実化を進め
 今回の件に至っては、石像の示すとおり、“山神の聖域”なのに暴れてたと判明

 まあ、女将軍さんも殺しとるけど!

恨み重なる暗殺者も、ネパール部隊に哀れなハリネズミに

IMG_9618
IMG_9617
 その最期に、一刀を敢えて受けた王玄策。

チャンダ・ムンダの最期
 その見た目で差別され育ったのでしょう、結束は誰より強かった。
 怪物めいた「兄」も、彼らにとっては心を許せる人だった
 王が、仲間を思うのと一緒なのだと。

 死ぬ訳にはいかない、しかし王は、彼らの気持ちに共感したのか

 彼に「仇討ち」をさせた王
 今まさに、大事な連中の為に戦う王には、「身内の為の戦い」は他人事じゃない

 せめて、笑って逝かせた態度、本当に男だった…!

王は気付く、今やりあった連中は“現在の王様”出身地なのだと

IMG_9616
 その事でラトナ将軍、うっかり口を滑らせた!

天は二物を与えず
 ネパールと国境を争い、勝手に権利を主張するティーラブクティ国の王
 それが、現在“天竺王”となったアルジェナの政変
 ラトナも「政変」を知っていた

 天竺に向かう際、玄策らを歓待したネパールは、最初から知っていた

 政変で天竺はどう変わった?
 王玄策らに、何も言わず向かわせ、「天竺がどんな反応するか」様子を見ていた

 その可能性に思い至り、玄策は一気に怪しみ始めてしまう

脱出七日目、ネパールを象徴する大宮殿に通された玄策

IMG_9615
IMG_9614
 カイラーサ・クータ宮殿、七階建ての壮麗な建物だったという

ネパール王都カトマンドゥ
 ご存知の通り、世界一の山であるヒマラヤは、元々は海の底だった
 隆起し、現在の形となった経緯から
 アンモナイトが多数産出

 彼らはヴィシュヌ神の聖石”と呼び、珍重したという

 玉座には特大のモノが!
 またこの宮殿、「隆起」による大地震によって倒壊してしまったらしい

 ともかく、ナレーンドラ国王に目通りは叶った! 

問題は身内を救う為、“第三国ネパール”に軍を借りる方策だが…?

IMG_9613
 ナレーンドラ王は苦労人、父王を殺害され、戦いの末に奪還した賢王という

悪王の正体
 まず推測、天竺の前王は、既得権益となり国政に欲を見せた「バラモン教」を疎んじ
 仏教を重視した為、逆恨みで暗殺されかけてしまい
 バラモン教団を放逐した

 しかしバラモン神官団は、前王の死去と共に、現王を担ぎだしたのだ

 辺境王アルジュナが、政権を取れたカラクリは分かった
 他にも怪しい女が味方してるようで…?

 バラモン教の失地回復政権なら、仏教迫害もあるかもしれない。

説得に2、3日はかかる」と、王玄策は考えていた。しかし。

IMG_9612
 王は「食事してくれ、その後に答えを出す」と返答した。つまり。

ネパール王国の思惑
 玄策は、王が既に「出兵するつもりだ」と看破し、頭をフル回転させる。
 一般的には、ネパールは彼らを殺害してしまった方がいい
 事故など幾らでも起こる時代だ

 だから蒋師仁は、「いつ暗殺されるか」と、ヒヤヒヤしてしまう

 しかし玄策、頭を回転させるべくモリモリ食うんだコレが!

ネパールの思惑、この事件は“大義名分”となるのだ

IMG_9611
 実際、ネパール王の側近たちは「唐なんざ無視しちまえ」といった

大義名分
 彼らに、天空都市カトマンドゥという、絶大な「地の利」あればこそだろう。
 しかしアルジュナ王政権は、ネパールに「害」だと分かった
 現在、国境紛争中の国の主だからだ

 また玄策らを投獄するなど、問答無用な上、バラモン教が担いでいる

 放置すれば“交易”が難しくなる
 山岳国家ネパールも、「平地への出口」を要塞で塞がれ、交易できなくなっては困る。

 今は、「中国に酷い事したね? 怒った!」と、大義名分がある!

王玄策に必要な事、ネパールに必要な事

IMG_9610
 ネパールが「七千で出兵する」と聞き、王玄策は「ならチベットに行く」と言いだした!

そうくるか!
 現在、天竺は悪王アルジュナを支持すべきかで揺れている、今は「好機」だ
 ネパール軍は、彼の政権が磐石となる前に
 軽くつつくだけのつもり

 そうすればやがて自壊する、最小のリスクで効果が期待できる

 アカンやん!
 王玄策は、アルジュナ王を倒し、仲間を救わねばアカンのや!!

 そこで王玄策は、「チベットにも応援を頼む」と言いだした

チベットへは悪路、道中、玄策が倒れれば“ネパールも困る”

IMG_9609
 ネパール王曰く、別の軍事協定の為に訪れていたチベット兵1200!

巨漢将軍ロンツォン・ツァンポ
 ネパールは、もし玄策が道中で倒れたら、「大義名分」を失って困ってしまう。
 しかし玄策は、さっきからあれこれと口を挟んでくる
 彼は意地でもチベットに行くだろう

 そこで駐留していたチベット兵に、協力を頼めないかと口ぞえに。

 チベットも、唐に恩を売る好機な上に
 天竺の発言力に関わる

 国許に使者を送りつつ、将軍の判断で、“実利”を求め参戦してくれる事に

軍は揃った、「第1巻冒頭」に繋がる無茶を言い出す玄策!

IMG_9608
IMG_9607
IMG_9606
 うーんこの信用しない視線、見え隠れする本音ホント好き。

断られました
 玄策も、ネパールとチベットが、「自分を大義名分にしてる」と解ってる。
 敵を刺激するだけに終わり、仲間を殺されたら堪らんので
 指揮に参加したいというのだ

 文官の彼が言うのだから、そりゃ誰もが「おい!」とツッコムむ始末!

 しかしネパールも負い目がある
 天竺に向かい、王玄策達がこの国を通過した時、「新政権はクソ」と気付いてた

 しかし口をつぐみ、“新政権の実情を探る人柱”に使ったのだから。

ゴネて「軍師」に命じられた玄策、ところが今度はチベット将軍が…

IMG_9605
 女将軍など信用できない、という、非常にシンプルなツッコミを受けるラトナ。

実力証明
 何せネパール7000、チベット1000、中国2名というバランスの良いパーティなので
 ネパールが、美しい王族という飾りだったらマジ困る!
 というチベット将軍

 なら戦って実力見せたらあ! と天下一武将会開催!!

 いやあ解りやすい!
 解りやすいけど、ロンツォン将軍がまた渋い人なんだ!!

 この人、象みたいな顔してるのに!

意外や、“油断していた”のはラトナ女将軍のほうだった

IMG_9604
IMG_9603
IMG_9602
 最大の予想外は、むしろチベット兵たちだよ!

嗚呼、褒め殺し
 当然ラトナ将軍は、そういう侮辱を幾度となく受け、またかという調子だったのでしょう
 しかしロンツォン、堅実にして技巧派で人情派という
 単に部下思いなだけだった!

 うちの大将も 武器を捨てるさ!(チベット兵)

 両者、技巧は互角!
 後は体力差、ラトナが武器を飛ばされた時、チベット兵から声が飛んだ!!

 部下の熱い信頼に泣きたそうな将軍、むしろ泣いていい!

ネパール王『(ロンツォン将軍…、なんだか、すまぬ!)』

IMG_9601
IMG_9600
IMG_9599
 師仁、よく見ておけ。あれが男の背中だ…(王玄策)。

男はつらいよ チベットの寅次郎
 ラトナvsロンツォン! 当初、「ネパールの小娘」と罵声をぶつけていたチベット兵も
 彼女に見惚れ、すっかりファンになってしまったのだった
 いやね、男子ってば単純で!

 結果、完全にヒール(悪役)となったロンツォン、ラトナに敗北を喫してしまう

 どころか、直参のチベット兵も「大将おめでとう!」と
 ラトナに向かって叫ぶ始末

 愚痴一つなく、夕陽に佇む男の姿。男一匹、ロンツォン将軍ここにあり…! 

知ってます奥様? ヒマラヤって火山活動がないんですって!!

IMG_9598
 通気性が良いくさりかたびらが発達し、弓矢も自然と「鋭く」発展した

貫通している時点で重傷です
 ヒマラヤは、二つの「プレート」がぶつかる事で、隆起して出来上がった山脈だ
 火山活動で隆起したわけじゃなく、したがって火山も存在しない
 なるほど!

 しかし温泉は多い、地下に下りた水が、マグマに加熱されて沸く為らしい

 温泉事情も色々なんですねえ。 

連合軍進発! しかし、問題が一つ。大問題があった

IMG_9629
 ここで冒頭、暗殺者が駆け込んだ要塞が活きて来るワケだ!

モティハリ要塞
 問題は、山岳盆地ネパール首都から、平地に降りるところの「要塞」。
 領有権を争い、道に「フタ」をしている悪徳要塞だ
 当然、要塞は守りが高い

 敵は6000、こっちは8000、守りを固められたら勝てない!

 おまけに、天竺本城から援軍が押し寄せたなら
 撤退せざるを得ない。

 この戦は不利、だからこそ「突くだけにしよう」、とネパールは考えていた。

王玄策は進言する、“天竺首都”へ直接侵攻しかない!と

IMG_9597
IMG_9596
IMG_9595
 ネパール王が鎧を用意してくれたのは、「人柱」にしてしまった謝意を込めて。

おおぞらをとぶ
 すなわち、平地に降りずに山岳を突っ切り、直接王都へ進軍するのである!
 これは、「山の険しさ」を肌身で知っているネパール人には
 到底考え付かないこと

 しかし山岳戦に長けた彼らだからこそ、こんな無茶が可能なのだ!

 第3者の玄策だから考え付いた。
 地元の猟師にも話を聞き、「要塞を攻めるより、有益な戦法だ」と承認を得る 

 次巻、険しいシワリーク山脈に何を見る!

収録

IMG_9594
 出兵! いよいよ決戦近し…?

 ヤングアニマルコミックス「天竺熱風録 3巻」。田中芳樹/伊藤勢
 月2刊 ヤングアニマル連載、白泉社発行。
 2018年2月(前巻2017年9月発売)

収録
 第16話
 第17話
 第18話
 第19話
 第20話
 第21話
 第22話
 第23話


 天竺熱風録 1巻“ま、何とかするしかあるめえよ”
 天竺熱風録 2巻“かくの如く我 聞けり” 天竺脱獄録
 天竺熱風録 3巻“仮面の下”ネパール政情録
 天竺熱風録 4巻“寡兵の戦争”ヴリトラ激突録
 天竺熱風録 5巻“戦象攻略”悪王出撃録
 天竺熱風録 6巻【最終回】

PVアクセスランキング にほんブログ村 ブログランキング・にほんブログ村へ
アニメランキング