公式サイト 田中芳樹/伊藤勢 漫画 天竺熱風録 1巻 感想 レビュー 考察 画像 内容 ネタバレあり。これまでの感想はこちら
アルスラーン戦記の田中氏原作、伊藤勢氏の圧倒的画力、面白くない訳がない!

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史実を元に、よその国の内乱に巻き込まれた、「文官」と仲間と僧の奮闘を描く!
 久々の伊藤氏作品、自身、信じていない事をもっともらしく言ってのけ
 仲間を守ろうとする“外交官”の脱走劇!

 使節の旅は、素晴らしき体験、牢に閉じ込められればクソの事情を心配する!

人生万事を楽しむ男の物語!
 当時、中国からインドに旅した男と坊さんたちの、ロードムービーとしても楽しめる!
 エベレストに感動し、料理は辛く、地元の匂いに驚かされ
 物乞いたちに群がられる!

 支える作画、担当・伊藤勢先生の楽しんでる感がすっげえ好きだ!
 
ここに驚異的な史実がある 本作は史実ベースの小説のコミカライズである

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 アルスラーン、銀河英雄伝説に続き、アニメ化狙っている…、って思いたいねェ!

あらすじ
 西暦647年、“玄奘三蔵”の帰国から2年、大唐帝国は天竺へ、修行僧を含む使節団を派遣
 しかし天竺統一王ハルシャは死没、代替わりしており
 一行は、悪王アルジュナに捕えられた

 使節団リーダー王玄策は、外交を理解せず、“階級外の人間”と蔑む王に憤然

 32名の仲間を行かすべく
 2人で脱獄し、パールに渡って軍を借りようと動き出す

王玄策とは、七世紀に大唐帝国と“天竺<インド>”を3往復した外交官である

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 先にクライマックスから見せる冒頭! 彼は、“援軍”を募ることに成功した。

俺は文官なんだがな
 冒頭は、寄せ集めの8000騎で、戦象部隊を含む7万もの敵軍との対峙!
 さて、ここからどんなインチキやって勝ったのか?
 顛末が気になる冒頭!

 しかし、三蔵法師と同時代に、そんな男がいたとはなぁ…。

僧を伴った旅は、宗教感も見所! 超常現象も…?

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 中でも、三蔵法師の弟子・智岸(ちがん)は、超常的な体験をする。

「俺」とは誰だ?
 いきなり、真夏に凍死しかけた玄策たち、というのも「雪解け水」に飲まれたのだ
 瞬間的、身体が動かなくなる“死”を間近にした中で
 智岸は「敵」となる女を見る

 ちょうど目的地、“天竺(インド)統一王”、ハルシャ・ヴァルダナ王が亡くなったところ

 唐突に王位を得たものがおり
 その傍らにいる、女呪術使い(?)が物語の鍵に。

 彼女、果たして何をやったのか。

三蔵法師が“英雄”となったのは、相手王の気遣いゆえ?

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 三蔵がインドに向かったのは不法出国同然、その彼が英雄となれたのは。

唐・天竺修好使節団
 当たり前ですが、国内では三蔵は無名も無名、しかし先の「天竺王」が先に使者を出してくれ
 彼に対し、礼を尽くしてやって欲しいと伝えていた頃から
 盛大な歓迎になったとか

 主人公の玄策は、この時の中国・唐の使節団として、既に一度天竺に

 感動した体験を伝えたい
 2度目の使節団、仲間を増やしたいと、ガキみたいに高鳴る玄策が魅力的だった!

 世界の屋根で騒いではいけません!(高山病になるから)
 
天竺とは、陽射しも激しく食べ物は辛く、甘い! 何もかもが激しい!!

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 天竺、仏法の本場インドに到達し、歓喜する僧たち

ここは天竺
 まず天竺へはサクッと到着、「カレー」が存在しないカレーの本場、それがインド。
 そういえば、甘いものはめちゃくちゃ甘いとかで
 日差しだって強い

 なにもかもが激しい土地、という表現が面白いです

 この後は天竺王都に至り
 王に挨拶し、「玄奘三蔵法師」より預かった、修行僧の方々を案内するのがお役目。

 師が学んだ本場で学ぶ、感動でしょうねえ
 
しかし町は荒れており、「大唐帝国の使者」でも構わず殺害される事件に

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 修行僧・智岸たちは、中国に侵略されたカラ・ホージャ出身。特に智岸はヨーロッパ系?

無能王アルジュナ
 現代人には、あまりに非道に思える行い、それも友好使節団だけに。
 賢王から、属国王だった強欲な男に代替わりし
 彼に捕らえられる玄策たち

 特に、智岸が幻に見た「女」は、唐の使者を始末しようとし…?

 中でも奇妙なのが「将軍」など
 階級社会を持つインドで、階級に当てはまらないが、王も敬意を払う特殊な社会集団らしい

 ボカされましたが、そりゃ一体何なのか…?

4つの階級に分けられたインド、では「外国人」とは?

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 外国人はどれも当てはまらないので、最下層民扱いらしい

ジャーティ
 カースト制度として知られ、司祭職バラモン、王侯士族のクシャトリヤ、農牧商業のヴァイシャ
 更に、隷属民というシュードラがいるが
 外国は更に下

 しかし捕らえられた玄策らは、別に殺されることもなかった。

 扱いが中途半端
 それはつまり、王宮自体が中途半端なのだと

 あの王への、不満は相当に…?

『言い難いがとりあえず、皆に覚悟して貰いたい事がある』

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 便所事情が、悲惨だよ。

シリアスなお話
 改めて冷静に指摘されると、ゾッとしてくるこの問題、何せ32人もいる!
 酷い環境、ストレス、気候や食事の違いあるのだ
 丸一日常に誰かが…、と。

 元よりインドの作法は、水で流して手で拭く、というもの

 ジョジョでもありましたね。
 当然、水道もないので雨水を利用しており、乾季になったら…!

 丸一日、誰かが部屋の隅でクソしてると覚悟しろ!

ただ問題は、そもそもマトモな飯を食わせて貰えるか…?

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 あったよ、飯が!

シャイニング歓喜
 幸い、「大使を殺して良いのか」と、宮廷内でも迷いがある事が窺え
 飯は貰えたが、なんか妙に辛いし…
 ダールにチャパティ!

 え? ぜんぜん辛くないじゃん?(唐、成都出身者)

 カレー汁と廉価版ナン。
 対し、中国人の反応が様々なのも見所。

 料理の嗜好が広いから…

先に捕らえられていた、“自称・天竺随一の尊者”と邂逅に

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※伊藤勢作品では、インド人は関西弁なのがセオリーです。

ナーラーヤナ・スヴァーミン
 自称200歳、かつてヨガや気功術を中国に伝えた、ダルマ老師の師匠と称する
 中国文化といっても、元を辿ればインドという例は多い
 仏教、拳法なんか最たるもの

 自称、聖典ヴェーダ、クンダリニー・ヨーガの真髄を極めた奇人

 めっちゃ胡散臭いですが
 実際に、王玄策は「自称200歳の方士」を連れ帰ってるそうな

 何という史実ベース。

迫力の、創造神ブラフマン、維持神ヴィシュヌ、破壊・再生神シヴァ

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 インドの3神、この圧倒的なラスボス感!

経典
 当時は「ヒンドゥー」へと変じていく最中、中でも彼は、中国の「仏法」に否定的で
 せっかく、こちらが伝えたものを即物的な形に捉えるとし
 傲然と言い放つことに

 認識しうる全ては無実体である。

 シャカの教えはそれだけ
 経典なんかは、それを膨大な理論武装しているに過ぎない、と

 故に、経典を運んだ三蔵法師も“下の下”だ、と

あの男は、術語の収集家であって、思索者とはちゃうやろー

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 この後、もれなく牢屋番に差し出された(ところを、玄策が救った)

クズ拾い
 彼にすれば経典とは理論武装、それを求めにきた三蔵法師は「収集家」に過ぎない…
 これは、作画担当・伊藤勢氏の見方を代弁しており
 三蔵の弟子と大喧嘩に。

 修行僧たちは、天竺で「本来の仏教」を学びにきたが、具体的な部分がない

 まだ若いし当たり前。
 若くないと、とても来られないような遠い場所なのですし。

 仏教とは何か? それは面白い!

王玄策の決意、牢を破り、仲間の仇をとってやる!

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 検診され、「残念ながら正常です」とか言われる始末!

外交官として「頭」として
 本作で面白いのは、主人公の玄策が、“リーダーが何をすべきか”を孤独に考えている所
 明確に、いま何をすべきかを理屈だてて考えるタイプで
 そこが魅力的です

 彼の本当の狙いは、「希望」を持たせて、部下の気力を維持する

 荒唐無稽と解っている
 しかし表面上は、「大丈夫だ上手くいく!」と豪快に請け負う!

 仲間に希望を、それがリーダーの仕事か!

だから玄策は、具体策を提示しつつも、脳内では疑問を持ち続ける

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 ついて行きたくなるような豪放磊落な男で、実は現実的。そこがいい

「天竺」への鉄槌
 しかし、本国を動かすのは難しい為、唐に恩を売りたいはずのネパールを動かす…、と。
 でも常日頃、彼は真逆の事を言っている。
 現場の人だから

 そういう、「大国気取り」の上層部に苦労している玄策

 彼を知る身内は疑うも
 屁理屈で押し切り、「脱獄し、唐の国力を利してネパールに助けを求める」で決定に。

 作画の伊藤氏は、これをして“嫌な奴”とも捉えたそうな

脱獄には、ナーラーヤナ・スヴァーミンが協力に

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※実際、唐皇帝・太宗に「長生薬」を煎じることになるそうな

連れて帰りたくなーい!
 が、背に腹はかえられないので、胡散くさい「尊師<グル>」とも協力に
 インドでは、不老長寿だので権力者に取り入ろうにも
 すぐ論戦に発展

 いわく亡くなった大王も、思想家の論戦大会よく開いてたそうな

 論ずるには理解が不可欠
 しかし、中国人は「理解」をすっとばして、成果ばかり求める即物的な連中だと。

 なので騙しやすいという…、連れて帰りたくなーい!

武人の師仁を連れ、玄策たちの“はしれメロス”の始まり…!

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 全員の脱走は不可能、そこで師仁との二人旅に

ネパールへ!
 際し、文官の自分が足手まといになったら見捨てろ、とか「族弟」を置いていく判断も鋭い!
 身内が残れば、残ったメンバーに対する“人質”になるという考え
 影響を常に考えてる!

 しかし、「インド4階級」の外に属する、異様な術者が見回りの最中で…?

 人間の耳をネックレスにしてるとか
 怖すぎる!

 王が愚鈍でも守りは堅固、まず都からどうやって…?

収録

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 白泉社だから、アニメ化はなさそうかしらねー。面白いんだけどなー。

 ヤングアニマルコミックス「天竺熱風録 1巻」。田中芳樹/伊藤勢
 月2刊 ヤングアニマル連載、白泉社発行。
 2017年5月発売(前巻発売)

収録
 第1話
 第2話
 第3話
 第4話
 第5話
 第6話
 第7話
 作画・伊藤勢先生のあとがき収録

 久々の伊藤勢先生新作、原作が田中先生で舞台がインド、面白くないわけがない!


 天竺熱風録 1巻“ま、何とかするしかあるめえよ”
 天竺熱風録 2巻“かくの如く我 聞けり” 天竺脱獄録
 天竺熱風録 3巻“仮面の下”ネパール政情録
 天竺熱風録 4巻“寡兵の戦争”ヴリトラ激突録
 天竺熱風録 5巻“戦象攻略”悪王出撃録
 天竺熱風録 6巻【最終回】

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